Q&A

 通勤手当は、会社が通勤行為に要する経費(実費)を負担する目的で、当該実費を限度に支給が行われるもので、仮に実費を超える請求があった場合は、会社は超える部分の支払いを拒否することができます。

 もし、社員が悪意や故意、過失により、実費を超える額の通勤手当をすでに受領してしまった場合には、その受領した額のうち、実費を超える額は民法上の「不当利得」に該当します。

 民法第703条では不当利得を返還する義務を定めていますので、社員が通勤経路や通勤方法について虚偽の届出を行い、あるいは、異なる経路・方法を利用するにもかかわらず、会社に報告することを忘れていた場合には、会社は給与規程等に基づいて支払い義務のある額を超えて支払った額について、不当利得として返還を請求できます。

 なお、返還請求は会社の有する債権(不当利得に係る債権は一般債権)ですから、その返還請求権の時効は10年間となりますので、過去3年間にわたり通勤手当を不正に受給したということですから、過払い額の全額を請求することが可能です。ただし、過払いとなった理由に会社の過失(人事や総務部署のミスなど)が認められる場合は、会社の過払い分はすでに支払った額から減額されることになります。 

 
 半年前の36協定締結にあたり選出した過半数代表者は、36協定締結という事由を対象に選任されたものですので、他の事由における「過半数代表者」にはなり得ません。

 したがって、今回は就業規則の変更に伴う意見聴取の目的で過半数代表者を選出することを明らかにした上で、改めて選出した者を過半数代表者とするという一連の手続が必要です。

 なお、ご参考までに「過半数代表者」の要件として労働基準法施行規則第6条の2では、①法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者でないこと、②法に規定する協定等をすることを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続きにより選出された者であること、と定めています。

 社員に対して行う減給処分については、労働基準法(第91条)により上限が定められています。これによると、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。」とされています。

 そのため、例えば、ある社員の平均賃金日額が10,000円であれば、1事案につき5,000円を超える減給を行うことや、1賃金支払期に減給処分の対象となる行為を7回行い、それぞれについて5,000円ずつを減給した結果、その合計額(35,000円)が1賃金支払期における賃金の10分の1を超える場合も違反となります。

 また、企業が懲戒処分を行う場合には、刑法の一般原則である「一事不再理の原則」が適用されるという考え方があります。 

 「一事不再理の原則」とは、同一の犯罪に対して重ねて刑事上の責任を問うことはできないというもので、懲戒処分についていえば、同一の懲戒事案に対して二重に懲戒処分を課せないことになります。

 したがって、ご質問の内容は、1事案における減給制裁の上限を超え、かつ、1事案に対して二重に懲戒処分を課すこととなるため、不可能となります。

 なお、結果として継続的な減給になる制裁として「降格」がありますが、降格については、労働基準法上には何ら規定がありません。降格・降職など職務変化に伴う賃金の低下は、減給の制裁に該当しないとされています。

 ただし、社員にとっては相当厳しい制裁となるため、それ相当の秩序違反行為があった場合に限られるべきでしょう。

 身元保証書の自動更新条項を入れることは禁止されていませんが、会社が更新に関する手続や必要な通知を一切行わなかった場合には、自動更新は無効となる可能性が高いです。

 したがって、更新を行う場合は自動更新ではなく、更新の都度、身元保証人に社員の状況などを説明の上、意思確認をするための更新書を送るか、あらためて身元保証書を提出してもらうなどの方法がよいでしょう。

  再検査の実施自体が法律では義務付けられていないため、その実施費用はもとより、受診時間に対する賃金の支払い義務もありません。

  そして、トラブルを避けるためには、就業規則等に「再検査に要した費用は個人負担とし、検査に要した時間について賃金は支払わない。」の規定を設けることがよいと思われます。

  一方、社員の健康をきちんと管理する目的で再検査を強制させるのであれば、就業規則等に「再検査は必ず受診するものとし、結果については会社に報告しなければならない。」などの規定を設けることが必要で、この場合の費用は会社が負担し、賃金についても支払うことが妥当です。

 支給日に在籍していることを賞与の支給要件としていれば、支給しないことができます。

 賞与支給日に在籍していることを要件とすることが就業規則、労働協約、労働契約等に規定されているか、又はそうした労使慣行がある場合には、算定対象期間の全部または一部に勤務した社員であっても、賞与の支給日より前に退職する者には賞与を支給しないことが可能です。

 ただ、例年より支給日が遅れたために、例年の支給日には在籍していた社員が、実際の支給日前に退職していた場合には、支給日在籍要件の適用は認められていないため支給する必要があります。 

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 就業規則・コンプライアンス対策、人事制度策定、教育・研修は勿論のこと、会社で起こる人事労務に関する様々な問題について、法律の専門家として適切なアドバイスを致します。

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 まずは、御社にお伺い致します。

 その上で、問題となっているテーマや解決したいテーマをヒアリングさせていただき、後日ご提案を致します。

 提案内容を御社でご検討いただき、了解いただければ正式に契約書等を作成し、業務開始となります。提案段階では一切費用はかかりませんので、お気軽にお問い合わせください。

 最初に、現在の法律の改正に対応できているか検証してください。そして、就業規則と実態がかけ離れていないか、慣習的なルールが記載されているかもチェックしてください。

 次に、将来的なリスクとして考えられる点を洗い出し、その対策も織り込みましょう。

 これで、大部分は完成です。

 しかしながら、ここで終了ではありません。ここからが大事です。

 最近の傾向として、就業規則を社員にしっかり周知していたかが、問題になるケースが少なくありません。

 周知徹底を図るためにも、できれば社員を集めての「説明会」を開催するなど、後で「聞いていなかった」とか「知らなかった」ことがないようにすることが大切です。
 
 特に改定の際に、従来に比べて何か不利益な労働条件が発生した場合などは、絶対必要です。

 また、雇用契約書等を交わしておられないようであれば、いいタイミングですので、内容の再確認の意味も含めて、交わされてはどうでしょう。

 ブログ : 改正ラッシュ

 残業代の見込み分として定額で支払う方法があります。

 これには一定のルールがあります。それは、就業規則、その他雇用契約書等で、時間単価や見込みの残業時間、金額などを社員に提示をする必要があります。

 そして、実残業時間が見込み時間を超えた場合は差額を支払う内容です。一方、実残業時間が見込み時間を下回っても定額で支払います。
 
 今まであいまいな形で「残業手当的なもの」を定額で支払っておられたのなら、すぐに内訳を表記してください。

 ただ、給与総額を変えずに内訳を変えて、一部の手当等を充当されるような場合は、不利益な変更となる恐れがありますので、社員への説明、雇用契約書の再締結等、慎重に対応してください

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社会保険労務士 上田 正裕

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